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『ヴァラップスイマーの素材について』

kawamura 2018.08.07

こんにちは、川村です。

ヴァラップスイマーに込めたこだわり、今回は「素材」について、です。

この手のワームはキャスト&リトリーブを繰り返すうえスキッピングもさせるので、
針持ちが良いに越したことはありません。

針持ちを良くしたければ、素材は硬めのものを採用し、
塩の含有量も減らすかノンソルトにすれば解決ですが、
ヴァラップスイマーの素材は特に硬いわけではなく、塩も入れています。
よって、針持ちに関しては良いといえるほどではないものの、
「平均的」といったところでしょうか。

素材は、アクションを優先したうえ、レンジキープ力も考慮して選びました。

「硬さ」に関しては、段階的にテストした結果、
硬すぎず柔らかすぎない中間的硬度。

スローリトリーブでもレスポンス良くテールを振ることは必須条件でしたが、
硬くなるほどにスローでのレスポンスが落ちること。
そして、動きの質もキビキビしすぎてしまうというか、どこか機械的に見えました。
さらに、素材を硬くするほどノーシンカーリグで浮き上がりやすくもなるのです。
これは、テールの水受けが強くなりすぎてしまい、
揚力を発生させるからです(テール角度も関係します)。

逆に、柔らかすぎてもテールの振り幅が大きくなることで
安定感やナチュラルさを損なったり、
初動はいいものの、ピッチ速度は遅くなったりと、
針持ちが悪くなるだけではなく、アクション面でもベストではなくなりました。

レスポンスよく、魚っぽく、テールの動きをボディに程良く伝達してくれる、
硬さというか柔らかさ。

「塩」に関しては、腹側は高密度に入れて高比重化し、背中側は少量。

上下に比重のギャップを設けることで低重心化に特化させ、
タテ扁平シェイプでも安定して泳がせることが目的でしたが、
自重(約12.5g)があることは、いうまでもなく投げやすさにも繋がります。
この自重は、硬さのところでも触れた浮き上がりを抑える効果もあり、
一定層を泳がせやすくもしてくれます。

ようは、「丈夫なことよりも釣れることを優先して選んだ素材」ということですね!

さらに、エビとイカとベイトフィッシュの粉末を混入し、
匂いでもバイトを促進していることはいわずもがな(^^)

針持ちは、少しでも良くするための工夫を形状に盛り込んでいます。
下あご部分には、オフセットフックのクランクを包み込むように保持する肉盛りを設けました。

また、背中側のスリットの内部にも、針先を埋め込むためのリブを設けました。
針先を埋め込んだ部分が引っ張り上げられず、
そのままスッと埋め込めるので、僅かながらも裂けにくい。

僕は、「形状」と「素材」がマッチしてこそ、出し抜いて釣れるワームになると考えています。
デザインを追い込んでも、素材が合わなければ狙った動きは出ませんし、その逆もしかり。
星の数ほどあるワームの中には、定番として釣れ続いている名品もあり、
たまたま?絶妙のバランスで完成されているモノもあるかもしれませんが、
狙って開発することに意味があると思っています。

ちなみに、素材の最終決定は、必ず量産用の本金型でうったもので行っています。
開発過程でも絞り込めてはいるのですが、
最後の微修正で変わる場合もあるし、自分が安心納得するためでもありますね(^-^;

先日霞水系で行ったルアーマガジン「イトウタクミのなぜなぜくん」にて。


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