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『フルーミー』

kawamura 2022.12.16

こんにちは、川村です。

今年も残すところあと半月を切り、いよいよ年末感が色濃くなってまいりました。
何となく慌ただしく過ごしておりますが、ロケやテストの機会もいただき、フィールドへは頻繁に出ております。

さて、先日メタルバイブ「フルーミー」の初出荷を終えました。
開発スタートからは5年ほど経っていましたが、途中頓挫した期間もあってのことです。

左右に揺れながら落ちる “シミーフォール” を目指すことは最初から決めていたこと。
バイブレーションプラグではモデルによって古くからあるアクションですが、メタルバイブでは例がありません。
リフト&フォールで誘うルアーですからね、魅力的なフォールアクションが釣果の差になるであろうことは容易に想像がつきます。

しかし、前例がないということは、実現できるかすら分からない。そんなところからのスタートでした。

腹部で抵抗を受けることでシミーフォールを発生させるとなると、重心を後方にまで分散させて水平に近いフォール姿勢かな・・・
と、イメージしたイラストを元にシリコンで型取って鉛を流してみましたが・・・ぜ~んぜんシミーしない(-_-;)
それどころか、斜めに泳いできたりして、「カンタンにはいかなそう」な雰囲気でした。

そこから重心バランスを模索したり、より水受けが良くなるようヘコミをつけたりすることで、一応シミーフォールする個体が生まれました。
しかし、明確な振り幅でシミーフォールするには条件がありました。それは・・・
“フックをスプリットリングで接続する” こと。

メタルバイブでは一般的であるダブルフックの直付けでは、シミーフォールを抑制してしまうのです。
しかし、ダブルフックをスプリットリングで接続しては当然ながらフックが横を向いてしまいます。
ラインアイの向きが異なるダブルフックを特注することもよぎりましたが、そもそもスプリットリングをかます時点で針先の向きに自由度が生まれ、引っ掛かりやすくなる。
根掛かりしやすいこの釣りにおいて、ダブルフックの直付けはマスト。

さらに、鉛でカップ形状に成形しても、ぶつけたり、リフト&フォールを繰り返すうちにカップ形状が崩れてきてしまうことも問題でした。

内部構造と浮力を備えるプラグと違い、鉄板とウエイトの組み合わせをシミーフォールさせることへの限界を感じてしまったのも正直なところ。
実現できない以上、メタルバイブはお蔵入りかなと・・・

それからしばらく経った頃、ダメモトで開発のワカマツに「何とかならないかな!?」と振ったところ、思いもよらなかったアイデアで克服してくれました!

それが、鉛より断然軽量なABS樹脂で成形した水受けカップ(ABSレシーバー)を後着けすること。
軽量化によるレスポンス向上により、ダブルフック直付けでも明確なシミーフォールが生まれただけでなく、リフトで瞬時に初動するレスポンスも向上しました。
もちろん、変形の心配もありません。

実際には、ABSレシーバー以外の部分でも細かなバランス取りも重要でしたが(これまたワカマツが数多くのサンプルを作って煮詰めました)、
この新構造がなくしてシミーフォールするメタルバイブの実現はありませんでした。

シミーフォール以外には、リフトやスイミング時のアクションがタイトであることも条件でした。
バタバタと大振りな動きは、プレッシャーが強くかかった状況では効きづらいし、スレやすい。
冬はメタル合戦になることもありますから、ハイプレッシャーな条件下で効いてくれないと戦力とはいえません。

そしてラインアイは一か所のみ。複数アイの位置による使い分けもあることは承知なうえで・・・
それよりは迷いなく、リフト時のアクションがベストと判断した一点でお使いいただきたいと思いました。

フックバランスもシミーフォールに影響しましたが、ひとしきり試した中でサイズ感の相性が良かったBKK製に、フッ素コート処理をしたものを採用しています。
メタルバイブはリフト時に乗っているバイトに対し、そのまま追いアワセになることがほとんど。
滑りの良さと、若干内向きな形状は力が逃げにくいことで、不十分になりがちなアワセでも刺さりやすい仕様です。

これまでのメタルバイブは、「ストン!」と真っすぐ落ちるタイプと、スライドフォールするタイプに大別されました。
スライドフォールするタイプも間違いなく釣れるモデルで、滞空時間が長いことでバイトチャンスを稼げることと、左右に散ってくれることで広範囲にアピールしてくれます。

一方、真っすぐフォールするタイプはノーアクションながら、狙ったところをタイトに探れることがメリット。
消波ブロックの穴撃ちや、護岸キワのテクトロ、そして橋脚や立木の根本へ正確に落とせます。
魚探で見つけたディープの沈みモノといったピンスポット狙いも同様です。

で、シミーフォールするフルーミーは、ほぼ正確に狙えます。
「ほぼ」と表現したのは、やや前方に泳ぎ進むから。
これがまた、逃げていく小魚のようでいいんですよ(^_-)-☆
まあ、思わぬ方向に逸れてフォールすることはありませんので、“狙いどおりに落とせて、生命感あるフォールアクションで誘える” のがフルーミー最大の特徴です!

また、シミーアクションのみならず、チラチラとフラッシングしながらフォールすることでもバスにアピールしているはずです。

今期は5gのみのリリース。
開発をワンウエイトのみとし、完成度を高めることに集中しました。

5gの開発を終えた時点で3.5g・7g・10.5gの開発をスタートし、すでに一発目のサンプルも届いていますが、
やはり、それぞれアクションが異なるため、ウエイトごとの調整が必要でした。
ワカマツがそれぞれのアクション出しを行っているところで、すでに傾向は見えているようです。

タックル的には、ボクは今ある5gでしたらスピニングPE。
ライト~ミディアムライドクラスのスピニングロッドに、0.6~0.8号のPEライン。リーダーはフロロ2号前後を組んでいます。

ただ、フィールドスタッフの石井一樹さんはベイトフィネスタックルにて房総リザーバーで好釣果を出しており、フロロ8ポンドと組んでいるとのこと。
根掛かりが多発するシチュエーションや、カバーに絡めて使う場合はこのセッティングもよろしいかと思います。

唯一無二のシミーフォールと、ハイプレッシャーフィールドにマッチさせたアクションのコンビネーション、ぜひフィールドでお試しください\(^o^)/


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