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『SNAQJIG(スナックジグ)開発話』

suzuki 2025.08.08

こんにちは、鈴木翔です。

この度、『SNAQJIG(スナックジグ)』をリリースさせていただきました。

一般的にジョイントジグと呼ばれ、フックを自由に交換できるタイプのラバージグです。
これまでにも存在するジャンルでジョイント構造ならではのメリットはあるものの、全てにおいて満足のできる性能を持ち合わせたモデルはまだ見当たらないというのが社内での見解でした。

SNAQJIG(スナックジグ)を開発するにあたり、求めた性能は以下の通り。

・フックを簡単に着脱できること。そして、実釣中はフックが抜けないこと。
・誘って食わせる性能に長けていること。
・フッキング(掛かり所)が良いこと。
・トレーラーの姿勢が良いこと。スクーパーフロッグシリーズと組んだ場合、裏返しで着水しても、すぐに反覆すること。
・ジグとトレーラーに一体感があること。

これら全てを適えるべく、開発を進めました。

まず、スナックジグの心臓部でもある【ジョイント機構】について。
“フックを簡単に着脱できて抜けにくい” シンプルゆえに、最も苦悩した部分です。

ジョイントジグにおいてフックの接合方法は、大きく分けて2タイプ。
①スプリットリングを介して接合するタイプ
②ヘッドに搭載されたワイヤーに接合するタイプ

①はフックが横倒れしやすいため口の外側に浅く掛かるなど、掛かり所が悪くなる傾向がありました。また、関節が1つ増えることで、トレーラーアクションがやや不自然になるといったデメリットも。
②はフックの横倒れを抑制し、針先が常に上方向を向くため掛かり所が良い。併せてトレーラーワームの姿勢が良くなることもメリットです。
よって、後者タイプのジョイント機構を思案することにしました。

開発当初は、ひたすらステンレス線を曲げ・・・

思いついたアイデアの中に、実用的な案は4つ。
その中でも、これは革新的だ!と思えるものが1つあり、実戦で使えるよう手作りでのサンプルアップへ。

しかし、知恵の輪的な構造で「フックの付け方が分からない」との意見が社内やフィールドレポーターから多数寄せられました。さらに、その複雑な見た目に反して、実釣テストではフック抜けも発生。

よって、このジョイント機構はお蔵入り^^;
候補は、残る3案に絞られました。

パターン①

一見、着脱方法が分かりづらいものの、フックの抜けにくさはピカイチ!
既出の機構ではありますが、よりコンパクトにできる余地あり。

パターン②

シンプルで分かりやすいが、構造上ジョイント部のコンパクトさに欠ける。
フックの着脱を繰り返すうちに、ワイヤーの隙間が広がりフック抜けの可能性も。

パターン③

工差(データと現物の差)が大きく、求めていた性能に達さず。

よって、実釣テストも交えた結果、パターン①の機構を採用しました。

フックを通してヒネるだけで着脱可能かつ、ワイヤーがクロスしていることで抜けにくいことから『ワンタッチロックシステム』と命名。

また、ジョイント部のサイズや形状を詰めていく過程で、小さくすればするほど良いものではないことに気付きました。

図のように、フックを出し入れする際にワイヤーが下方向へ若干タワむことで、隙間が生まれフックが通る。フックを通した後はワイヤーが復元し、フックの抜けを防止するといった構造なのですが・・・ジョイント部が小さくなるほど、そのタワミに必要な力が増して脱着しづらくなるのです。

それぞれの寸法・角度を微調整し、ジグとトレーラーに一体感を生む“コンパクトさ”と、フックを着脱する際の“使い易さ”を両立しました。

このジョイント機構の良い所は、それ以外にも。
・フックの上下に対する可動域が広いことでトレーラーの自由度が高く、柔らかなアクションを出せる。
・フックの左右へのネジれを最小限に抑え、針先が常に上を向くことでバスの上顎に掛かりやすい。

ワイヤー径は必要な強度を備えた上で、扱えるフックサイズの幅も広い0.8mm径を採用しました。
具体例を挙げると、ライトニングストライク(ハヤブサ)であれば #2~#6/0。最大でインフィニブルータル(リューギ)の#8/0まで対応します。
※スクーパーフロッグメガ用に開発した18.0gのみ、0.9mm径を採用。

フックの着脱方法は、下記動画をご覧ください。


注意:線径が太いフックの場合、ヒネるだけでは硬く通りづらい場合がございますが、変形・破損に繋がるため強引にヒネることはお控えください。フックを下方向に押しながらヒネることで、着脱しやすくなります。 

続いて、【ヘッド】について。

盛り込む要素としては、
・移動距離を抑えて誘える60度アイ
・カバーからのスリ抜けが良く、ボトムでの安定性にも長けたシェイプ
・スイミング時の安定性に優れ、裏返りから反覆しやすい低重心
・細かなロッド操作にもレスポンス良く対応する重心バランス

それらをイメージして削って型取り、1stプロトが完成しました。

その見た目から“ナスビ”と名付けた1stプロト。
意図としては、背の反るような形状で水を掴み、移動距離の抑制に貢献しないかと。そして、ロッド操作に対してレスポンス良く動くよう低重心かつ、ラインアイ寄りに重心を配置しました。

しかし、極端な先重心のため、弾丸のように水面に突っ込む…。
また、ヘッドの横幅が細く縦に長いことで、ジグストした際にヘッドが暴れやすく、安定したアクションを出せず。

すぐに形状修正をした2ndプロトは、やや扁平すぎるのと、まだ横幅が足りない。
扁平であることは、先述したアクションレスポンスに影響するとともに、裏返し状態から反覆しづらいといったデメリットもあります。

2ndプロトをベースに底面の肉を増して低重心化させ、横幅を広げた3rdプロトは若干スリ抜けが悪くなりました。
ブラシガードでモノを躱すカバージグと異なり、ジョイントジグはヘッドがダイレクトにモノと接するため、その形状にスリ抜け性能も左右されます。

また、カバー接触時やボトム着底時などモノと接する際に“点”で接し、姿勢を崩しやすいことも改善点でした。

そこで参考にしたのが、ギャップジグのヘッド形状。

横から見ると、ラインアイからヘッドにかけて滑らかに繋がり、底面はややフラット気味で横倒れしづらい。スリ抜け性能と安定性を備えたシェイプです。

4thプロトは、ギャップジグのサイドビューを踏襲しつつ、トップビューに関しては先尖り形状に。先述したように、ブラシガードが無いジョイントジグは、ヘッドでスリ抜けさせる必要があるからです。

この4thプロトをベースに、さらに上面の肉を落として、より低重心化。ラインアイから底面にかけての繋がりも滑らかにし、底面を更にフラット化するよう整形し・・・

それを基に上がってきた最終プロトは、見た目でも機能面でもグッと良くなりました!

加えて、全カラーそれぞれスカートにマッチするヘッド塗装を施し、より美しく。より一体感をアップ!

底面にはウエイト印刷を入れ、一目で分かるように。
機能性だけでなく、所有感も満たしてくれる仕上がりになったと思います。

そして、誘って食わせる上で重要な【スカート】

開発過程で、様々なバリエーションを吟味した結果・・・ギャップジグと同じ“弾力のあるファインスカート”を採用しました。

フォール時やスイミング時には、全体で柔らかくウネリながら、先端は細かく揺動。わずかなロッド操作や水流でも機敏に動いてくれるのは、細くも弾力性を備えているから。
また過度にフレアしすぎないことで、ジョイント部を包み隠してくれる点も採用した理由の1つです。

下記動画をご覧いただければ、その良さがお解りいただけるはず!(^^)!


スカートの長さは様々なトレーラーに合うよう、やや長めです。
ブルスホッグ3inと合わせた際は、パドルに干渉しない。スクーパーフロッグマグナムと合わせても適度なボリューム感を出せる。

長くなる=よりウネりやすくなるのもグッドポイント(^^)/

また18.0gに関しては、スクーパーフロッグメガに適したボリュームを持たせるため、他ウエイトより1㎝長くしています。

最後に【ウエイトラインナップ】について。
下から3.5g・5.0g・7.0g・11.0g・14.0g・18.0gの計6ウエイトです。
※18.0gのみ2025秋発売

スクーパーフロッグダディであれば5.0gor 7.0g、スクーパーフロッグマグナムであれば11.0gor 14.0gを基準とし、状況に応じて軽め・重めに振る場面もあります。

2025年の秋発売予定のスクーパーフロッグメガに合わせて、開発途中で追加した18gは、メガのアクションを最大限に引き出してくれますよ!

スクーパーフロッグはもちろん、ブルスホッグ・ハリーシュリンプ・ギミー・ヴァラップスイマー…など、様々なワームと合わせることができるのもジョイントジグの利点です。

使い方は自由!是非、ご活用いただけますと幸いですm(__)m


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