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『クネリー3.6”開発話』

kawamura 2025.09.15

こんにちは、川村です。
このたび、高比重スティックベイト「KUNNERY(クネリ―)3.6”」をリリースさせていただきます。

一見した形状に斬新さはなく、これまでにも数モデル存在する、両端がファットで中央がくびれたシェイプ。
しかし、そのアクションは全くのベツモノです!
まずは、開発に至る経緯から・・・

フォール中、自発的にボディをクネらせるソフトベイトは良く釣れると実感されている方は多いのではないでしょうか?
ボクもその一人で、何をせずとも勝手に動くことは、バスに生き物だと認識させる効果が高いのだと思います。

スティックベイトにおいても釣れる要素ながら・・・例えば5インチモデルはパワフルにクネるのに、4インチモデルになるとタイトもしくはユラユラする程度になり、それ以下になると・・・
といった具合に、ボディサイズによってアクションに差があることは以前から認識していました。

これが細身なら3インチ台でもクネるのですが、ファットボディだと短くなるほどクネらなくなる。
それでも、3インチ台でファットな(自重がある)モデルはベイトタックルで扱えるため快適にカバーを撃てつつスローフォールで誘えるメリットがあり、釣果が出ていることもまた事実。
ならば、“3インチ台で自重があってクネクネフォールする” スティックベイトがあったら相当釣れるんじゃないか!?と思ったワケです。

ちなみに、求める動きの質はロールではなく、左右へのウォブリング。
ロールであればボディが曲がらずとも出せるので、まだ容易です。

開発ノートを見返すと、2024年の2月に起案。
イメージというか、商品化の条件として掲げたのは・・・
・3.5インチくらいで自重は7g以上。
・2/0フックは背負えるようにしたい。カバーフィッシングにおいて、2/0あるとキャッチ率に安心感があるからです。
・パワフルにクネクネフォールすること!!

で、まずは試しにいくつかのクネクネフォールするモデルを少しずつ寸詰めしていくと、やはりじょじょに振り幅がタイトになっていき、いずれ動きを失う。
4インチくらいに壁となる境界線があることが分かりました。

まず、クネりやすくするには、その動きの支点となる部分を細くする・・・これはカンタンに思い浮かぶところ。
正直なところ、それで高比重化すればそれなりに動くんじゃないかと予想していました。
ところが、4インチ以下においては全く動かず・・・「あ、甘くないんだ・・・」と(^^;
ノーシンカーワッキーにしたときに、ボトムで「チョン」と引いたら「ポヨヨン」と余韻で震えるのはいいな~・・・くらい。

あと、初期はブレーバーのように小型シャッドテール付きを模索した時期も。
トゥイッチしたときにテールがピリリと震えるのは良かったものの、フォールベイトとして理に適う形状との相性を見出せず、どっちつかずになるので断念しました。

テール部分をシャッドテール仕様にした名残り。テールをカットしても自発的にクネらず。

そこからの試行錯誤の詳細は省きますが・・・いくつも手作りし、自発的アクションを生むカタチを模索しました。
その中で、かつて本山博之さんがプロデュ―スしたAR-45をヒントに両端に膨らみを付けてみたところ・・・クネッた!
フォール中、両端に集中して水を受けることでウォブリングフォールを生じることと、リフト時にの抵抗となってバイブレーションも出る!
これをベースにボディバランスを絞り込み、自重も7.5gほどを見込んで1次試作のCADデータを起こしました。

その際、リングボディでデザインしました。
理由は、クネりやすいしなやかさが出せることと、極端にボディ中央が細くなる見た目ではなく、コアは細くとも、リングの高さを調整し一体感のあるアウトラインにしたかったから。

動きの支点となるど真ん中が細いことはマストながら、ワッキー掛けをする部分にはポッチで肉盛りし、少しでも針持ちが良くなるように。

そうして上がってきた1次試作でしたが・・・これが全く動きません”(-“”-)”

この1次試作をベースに改造していき、改善すべきは、
【もっと重くしなければならない】
当モデルに関しては、短い寸長でどれだけ自重を稼げるデザインにするか。
自重が重いことでフォールスピードが速まり、ボディへの水受けが強くなることで自発的アクションを生じるからです。
この点において、リングボディにしたことが失敗でした(肉抜きになる)。
よって、自重を損なうリングボディは可動域のみとし、ベースはリブ仕様に変更です。
両端に水受けを集中させるための膨らみも、その付け根をクビらせることで自重を損なうため、無しでアクションを出せるように。
また、膨らみを設ける分、ボディ長も詰め切れず(1次試作は3.8インチありました)。

【とにかくクビレのディテールが大事!】
基本的にはクビレは細い方が自発的クネりには有利ですが、細くし過ぎると逆に出なくなるし、ロッド操作によるワッキーアクションのレスポンスも悪くなってしまいます。
フォールでクネるしなやかさと、曲がってから戻る反発力のバランスがシビアでした。
1次試作をベースに、クビレの太さ&長さ違いを作って煮詰めていきました。
そのうえで、クビレ部をテーパーさせること(よく見ないと分かりません)も振り幅の増幅に効果がありました。

また、針持ちを良くするために設けたポッチがあるだけでも自発的アクションは出なくなり、無くすことに。

【低重心化させること】
フォール中の抵抗から逃げずにどっしり受けること。そのためには安定した姿勢でフォールさせる必要があります。
オフセットフックであれば、その重さでフックが真下を向いた状態でフォールするのが当たり前のようで・・・実は、意外にもフックを横に向けた状態でフォールしていることもある。
塩の含有量を背と腹で変えることで低重心化する方法は有効ですが、当モデルに関しては目一杯自重を重くする必要があるため、背の塩を減らせない・・・

断面を横扁平にすることで姿勢の安定化を図ってはいますが、やり過ぎるとフォールスピードが遅くなってしまいマイナスに転じる・・・
そこで、腹側を下に張り出させることで低重心化を図るとともに、自重もUP!

これらを盛り込んだ2次試作は一気に良くなり、クネクネフォールも実現しました!
ただ、水の掴み具合によって、クネクネするときとしないときがある・・・もう少し自重があればその動きに安定感が出そうな感じです。

そこで、腹側だけリング隙間を埋め、センターラインを太くし、と僅かでも自重増となる肉盛りを。

さらに、クビレど真ん中の径をもう0.2㎜細くし、幅を0.3㎜長くし可動域を広げました。

そして工場には、これまでの上限以上の塩の含有量を試させてもらいました。

上がってきた3次試作は・・・平均自重が7.9gから8.3gへアップし、これまで以上のキレと振り幅でクネクネするじゃないですか!!
最後の微調整でグッと良くなる・・・あることです!(^^)!

ノーシンカーリグ以外でも、フリーリグやリーダーレスダウンショットリグ、シンカーフリーのテキサスリグでもライブリーなウォブリングフォールを披露します。
ノーパーツながらファットボディで水を掻くので、水押しでもアピールしてくれますよ!

特に、フリーリグによるフォールがノーシンカーに匹敵するパワフルなクネりを引き出せる。シンカーストッパーをセットした通称 “ズボラリグ” で、シチュエーションに応じてシンカーの可動域を調整するのがおススメです。
フォール中にストッパーでシンカーが止まることで強く引っ張られ、クネってくれるのです。
シンカーウエイトは重い方がクネりやすく、5g以上あるといい感じです。

一方、見た目 “いかにも” なワッキーリグも良いアクションを発するのですが、キャストでけっこう飛んでしまう・・・
先にも記したとおり、フックを掛ける部分の形状や太さを検討してはみたものの、アクションを出すためにはどうすることもできませんでした。
なので、推奨はしないでおこうかな、というところです・・・m(__)m
(パッケージには記載してしまったので、ランニングチェンジします)

タックルですが、
ノーシンカーであれば、硬めのベイトフィネスロッドが最適です。
リールは、ベイトフィネスモデルでもいいですが、そこまで高回転でなくとも投げれますので、バーサタイルモデルで十分!
ラインは、フロロカーボンの8~12ポンド。
フックは、オフセットタイプの1/0~2/0。

上記はベストタックルで、実際にはワンランク硬いロッドに太いラインとなるバーサタイルタックルでも使ってしまいます。
また、フリーリグやリーダーレスダウンショットに関してはノーシンカーほどタックルを選びませんので、シチュエーションに応じたタックルでOK!

フックセットに関してはひとつ注意点があり・・・
1/0ならクビレの可動域に掛かることなくスマートですが、少しでもキャッチ率を高めるのに2/0をセットされる場合はボディの可動域に掛かるギリギリになりますので、ラインアイは出した状態でセットしてください
最初にフックを刺して抜く場所には穴が空いていますので、そこから抜いていただければ正確です。
針先は背に設けた肉盛りに埋めることで、ボディを歪めず真っすぐセットできます。
ボクがデザインするソフトベイトはこの方法をとることが多く、フックをセットしたときに針先がボディのアウトラインより外側に位置するのが最もフッキング率に長ける。
針先が隠せないエラストマー素材に関しては、スクーパーフロッグのようなスリット式の採用になります。

ちなみに、クネリ―という名前は言わずもがなそのアクションからきていますが、ラジオでかつて阪神タイガースにいたオマリー選手の話題を聴いて「クネリ―にしよう!」と。
・・・ともあれ、3.5inクラスで8g以上の自重がありながら、パワフルにクネクネフォールをする唯一無二のスティックベイトに仕上げることができました。

コンパクトで自重があるので良く飛ぶし、ピッチングもスパスパ決まる。ノーパーツゆえ、スキッピングでの滑り具合も最高です!(^^)!
キャストが決まってクネクネフォール・・・ラインが引き込まれるバイトはたまりません!
また、中層やボトムでのトゥイッチ&フォールでも好反応を得られており、シチュエーションに応じてタテにもヨコにも誘える器用さも備えています。
その辺は、近日公開の実釣動画にてお見せします!

ここに紹介したリグ以外でも可能性はあり、実はボクも一つ見つけてはいるのですが・・・好結果出ましたらご紹介しますm(__)m
皆さまの釣果アップに貢献できましたら幸いです(^_-)-☆


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