


ボトムアップ草深です。
今年の10月に、ジャークベイト『Flanjer(フランジャー)』を発売させていただきました。

すでに優れたモデルがいくつもある中でフランジャーに求めたのは、“移動距離を抑えたキレのあるダートと、止めた時の揺れ”を融合させることでした。
移動距離を抑えた左右への鋭角なダートアクションでバスに見切らせず、捕食スイッチを入れる。
ダート中も身をひねるようにロールを交え、艶めかしさがあること。
そして、最もバイトチャンスとなる 止めた瞬間にも、「ブルッ」と震えることでバイトを促す!
それに加え、サイズ感やキャスタビリティ、ラトル音、潜行深度といった要素も、昨今のフィールド状況を加味した上で突き詰めました。
■ ボディサイズ
開発当初は全長80mmほどからスタートしましたが、体高があることも相まって飛行姿勢が安定せず投げにくく…。固定ウエイトだと、よりその傾向が顕著だったため、この時点では重心移動ウエイトの採用を前提としていました。

テストを繰り返す中で徐々にサイズアップさせると同時に、体高は少しづつ落としていき、全長と体高のバランスを調整。
90mmはバーサタイルタックルでは扱いづらく、110㎜だと昨今のハイプレッシャーフィールドではアピール過多に感じる場面も多く・・・最終的に、ML~Mクラスのタックルで扱いやすく、フィールド問わず幅広い状況に対応する“100mmサイズ”へと辿り着きました。
■ボディ形状
ジャークした際に発するフラッシングは、ジャークベイトの持ち味のひとつ。
やや体高があるフラットサイド形状によって面をしっかりと確保することで、そのフラッシング効果をより高めると共に、ダート時の色調変化による視覚効果も高めます。

また、テールにかけて細く絞られたシェイプは、アクション時のキレの良さに貢献。
僅かに反り上がっていることで、鋭角なダート軌道を生み出します。
■リップ

ボディに対して若干長めのリップにすることで、着水後から狙いのレンジまで速やかに到達します。
少ないジャーク回数で潜行してくれるので、カバー際をよりタイトかつ移動距離を抑えて通すことができ、バスがルアーを追いづらい状況においても優位です。
また、強く水を押しつつも適度に逃がし、艶めかしいダートアクションを生み出します。
■水中での姿勢
移動距離を抑えたダートを適えるには前傾姿勢、止めた際の揺れを生み出すには水平姿勢が有利に働きます。
“移動距離を抑えたキレのあるダート(前傾姿勢)”と、“止めた瞬間の揺れ(水平姿勢)”。
この2つは相反する要素であり、それを両立させることがフランジャーの開発において最大の難所でした。

姿勢違いのサンプルを作っては、アクションチェックの繰り返し。
どちらかに寄せれば、もう一方の性能が犠牲に・・・。
辿り着いた結論は、やや前傾姿勢でした。

製品版の水中姿勢。
前傾姿勢でも、止めた際に揺れを発する。それを実現したのが、ボディ腹部の形状と、その内部にカマボコ状で設けられた固定ウエイトです。
■固定ウエイト
ボディサイズの部分でも述べた通り、当初は重心移動ウエイトを前提として開発を進めていましたが、重心移動では狙ったアクションを出せずに苦悩していました。
ボディ形状を修正していく過程において、完成形に近づいてきたボディで改めて固定ウエイトモデルを作ってみると、明らかに揺れにおいて有利なことを再認識。
ウエイトが動いてしまうことで、揺れを抑制してしまっていたことの確証を得ました。
と同時にボディをシェイプアップしたことで、固定ウエイトでも格段に投げやすくなり、重心移動から固定重心へと方向転換。
そこから、より揺れを生み出すために試行錯誤を繰り返しました。

冬の亀山ダムでの実釣テスト。固定ウエイトながら、川村も納得の投げやすさに。
その中で最も揺れを出せたのが、やや丸み帯びた腹部底面に、カマボコ状の成型ウエイトを這うように配置したもの。そのウエイトが可能な限り低重心になるよう調整し、シーソーの要領で揺れを発生させます。

固定ウエイトのメリットは、その他にも。
重心移動よりも動き出しが早いことで、着水直後からすぐにベストアクションを出すことができます。
特に着水点からストライクゾーンが狭い、急深なリザーバーの岸際やカバー際では、この“立ち上がりの早さ”が釣果を大きく左右する要素になります。
また、球体ウエイトとラトルルームを調整し、ラトル音を細かく調整できるのも固定ウエイトの利点ですね。
■ラトル音
ジャークした際に甲高く鳴る音は、濁り・強風といった条件下ではプラスに働くことはあれど、昨今のハイプレーシャーフィールドではバスに嫌われることの方が多いと感じます。
一方、音の鳴らないサイレントは、バスにルアーの存在を気付いてもらいにくい…。

フランジャーの音は、警戒心の強いバスが嫌がらない。だけども、深場やカバー奥に潜むバスがルアーの存在に気付いてくれる程度の、程よいコトコト音に調整しました。
■ 最終調整
最終段階では、ウエイトルーム内の細かいウエイト配置やクリアランス、ラインアイの角度調整に注力しました。
そんな中、完成間近のサンプルを渡していた川村から「糸絡みが気になる」と。
ジャークの強さやラインスラックの処理など、これらは使い手によって異なるため、“誰しもが快適に扱うことができること”もジャークベイトとして重要な点です。

最終的にラインアイはやや下向きに、かつ先端側へ少し飛び出す設計にすることで、左右へ安定したダート性能を高め、ジャーク時のフック絡みをほぼ皆無にすることに成功しました。
最終サンプルを持って、川村と夏の千葉県:戸面原ダムで最終テストを行った際には、半日で10本近い釣果に!川村は見えたグッドサイズを仕留めるなど、我々も驚く釣果で量産化へのGOサインを出しました。


■ カラーラインナップとこだわり
初回は全8色。

塗装する際に意識したのは「背中・肩・側面・腹」で色に変化が出るように塗ること。

ロールを伴ったダート時に複雑な色調変化が生まれ、バスを惑わします。
喰う寸前で迷っているバスに“あと一押し”の要素として、色調変化は重要です。
■替えフックについて
純正フックは#7サイズ。
フックが鈍くなって交換する際は、
・カマキリライト #7(イチカワ)
・トレブル SP M #7(がまかつ)
などがおすすめです。
■ 最後に
特にこれからの低水温期から春にかけて、ワームでは釣りづらいバスもジャークベイトなら反応させられる場面も多々あります。

夏の相模湖、秋の三島湖や芦ノ湖でも!
ベイトフィッシュを捕食しているフィールドでは、季節問わず出番があります。
現代のハイプレッシャーフィールドにおいて釣るための性能を詰め込んだ、現代のジャークベイトです。是非、フィールドでその実力を体感してみてください。
■ 参考タックル
ロッド: 25 BLACK LABEL C66ML+
リール: 24 STEEZ SV TW 100HL
ライン: スティーズ フロロ 12lb.